プロセスコンサルタント講座 Written by プロセスコンサルタント・ジャパン

アクティブリスニング

プロセス・コンサルテーション

プロセスコンサルタントにとって、相手の話をしっかりと聞くことは、何よりも大切なスキルである。

しかし、我々は学校で、人の話の聴き方について学んでこなかったため、正しい聴き方について理解している人はほとんどいない。一生懸命に相手の話を聞いているつもりでも、ふと気がつくと、自分の方が話していたという経験は誰にでもよくあることである。

しかし、このような態度では、相手が何を考え、何を望んでいるかを本当に知ることはできない。

そこで必要なのが、相手の話をしっかりと聴くこと。具体的には、「アクティブリスニング」と呼ばれる手法である。

「アクティブリスニング」とは、相手への尊敬を表す基本的態度と組み合わさった会話の技法であり、この技法は、会話の相手を頭と心(理性と感情)で理解するのを助けてくれる。

アクティブリスニングは、アメリカの心理学者カール・ロジャーズ(Carl Ransom Rogers, 1902-1987)によって考案され提唱された、コンサルテーションと心理療法における会話技法のことである。

このアクティブリスニングには、下記3つの要素がある。

1.相手の話に耳を傾ける

  • それがどのように起こったのか教えて下さい。
  • 私は、・・・について、もっと知りたいです。
  • 私は、・・・について、とても興味があります。

2.話の核心を要約する

  • これまでお話して頂いたことを、私の方で簡単にまとめさせて下さい。
  • 私は、・・・・というように理解しましたが、間違いありませんか?
  • 私が正しく理解できているなら、・・・ということですか?

3.相手の心情を汲み取る

  • それは、さぞかし不愉快だったことでしょう。
  • それは本当に助かりましたね。
  • 今、あなたはとてもやる気が出て、表情も明るくなりましたね。

このアクティブリスニングを行うことによって、相手は、自分自身で問題を明確にし、個人的責任感を高めていく。

また、この手法によって、相手を理性的かつ感情的に理解することができ、相手が自分で問題の解決法を見つけ出すことを促し、対立時においては、非生産的で自己防衛的な言葉のやり取りを回避することができる。

アクティブリスニングにおける基本原則は、下記の通りである。

  • できる限り外向的かつ共感的な態度で、相手の立場に立ったものの見方をし、相手を理解する
  • 注意深く相手の話を聞き、頭と心の両方で(理性的かつ感情的に)理解する
  • 相手が考えている間の沈黙に耐え、解決策を安易に与えないようにすることで、相手が自分自身で物事を明確にするのを助ける
  • 自分が理解したことを事実面と感情面の両方の言葉を使って要約して繰り返す。(単純なオウム返しはしない)
  • 感情的な内容の表現は、事実とは限らないので、それを鵜呑みにし、その通りだと主張しないこと
  • あなた自身の経験に基づいた例やストーリーを使うことは避ける。あくまでも相手の立場に立って、ものごとを見る。求められてもいない意見や考えは言わない。

このアクティブリスニングは、相手を本当に理解するため、そして、相手から信頼を得るために、非常に有効な技法である。

だからこそ、グループに関わり、援助するプロセスコンサルタントは、最低限身につけておくべき必須のスキルと言える。

相手の話を頭と心でしっかりと聴く。

これができることが、プロセスコンサルタントにとって、何よりも大切なことである。