プロセスコンサルタント講座 Written by プロセスコンサルタント・ジャパン

意見を引き出す方法とは? その2

ファシリテーション

前回、参加者から意見を引き出す方法として、コールアップ・クエスチョンというものを紹介した。

これは、一般的に使われている方法で、複数の参加者に対して、司会進行役が質問を投げかけるやり方であるが、それをうまく行うには、
まず第一に、アイコンタクトが必要だということが重要ポイントだった。

今回は、次のポイントについてお伝えしたい。

これは、実は多くの人がアイコンタクト同等かそれ以上に苦手としているものだ。

それは、「沈黙に耐える」ことである。

司会進行役として、人前に立つと、沈黙が怖くなり、何か話さなければならないという恐怖観念に駆られる。

そういった心理状態でいると、少しでも沈黙が流れた時、無理やりに何か話そうとし、これがまたパターン化されていく。

つまり、多少の沈黙があっても、司会進行役が話し手となって何か話す。
そして、参加者は聞き手となって、ただ話を聞き続ける。

このパターンが出来上がり、毎回これが続くと、参加者は会議に参加しても、基本的には、毎回座ってただ話を聞くだけということになる。

このパターンが定着化すると、全く発言の出ない会議が当たり前となっていく。

では、このような会議を活性化するには、どうすべきか?
司会進行役としてできることは何か?

それは、沈黙に耐えることだ。

沈黙が流れたら、無理に話そうとしない。

参加者と一緒に黙る。

ただし、参加者とのアイコンタクトは絶対切らさないように。

1人3秒ずつ、ランダムに目を合わせていく。

この沈黙に耐えるのが難しいのは、自分の中で焦りが出てくるからだ。

しかし、それは参加者も同様で、沈黙が流れると、居心地が悪くなる。

そうすると、司会者が一緒に黙るなら、自分が何か発言しなければならないという心理状態になる。

これが、参加者への良いプレッシャーとなる。

さらに、そこに前回述べたアイコンタクトの効果が相まって、無言でいながらも、発言を促すための圧力をかけることになる。

では、この沈黙に耐えると言っても、どれくらいの長さを耐えれば良いのか?という問題が出てくる。

目安は30秒。

たった30秒と思うかも知れないが、司会進行役として人前に立った時は、この30秒がものすごく長く感じる。

しかし、それでも頑張って耐えなければならない。

そうすると、沈黙に耐えられなくなった参加者が、あなたに代わって発言をしてくれることになる。

つまり、沈黙に耐えることも1つのテクニックなのだ。

全員に対して質問を投げかけるコールアップ・クエスチョンをうまく行い、かつ、参加者が自発的に発言してくれる雰囲気作りをするためには、アイコンタクトと沈黙に耐えることの2つが両方とも必要になってくる。

これがうまくできるようになると、これまでよりも活発な会議に変わって行く。

しかし、この内容を読んで頭で分かっても、実際にやってみるといきなりうまくできない。

「分かる」と「できる」には大きな乖離がある。

実際にうまくできるようになるためには、とにかく反復訓練が必要。

最初からうまく行くことを期待せず、毎回会議をするたびに必ず練習して欲しい。

これを繰り返していくと、かならず上達する。