プロセスコンサルタント講座 Written by プロセスコンサルタント・ジャパン

意見を引き出す方法とは? その1

ファシリテーション

会議において意見を引き出す方法はいくつかあるが、まずは、最も一般的に使われているが、残念ながら、全く効果的に使われていない方法を紹介する。

しかしながら、これは正しいやり方で行うと、かなりの効果を発揮し、参加者の意見を引き出すのが容易になる。

その方法は、コールアップ・クエスチョン(Call-up question)と呼ばれるものだ。

具体的には、司会進行役が、複数の参加者に対して、「何かご意見はありませんか?」と呼びかける形式の質問方法である。

これは、様々な会議で頻繁に使われているが、単に質問を投げかけただけでは、全員に対して、活発な発言を促すことはできない。

そのため、司会進行役は、質問を投げかけるだけでなく、他にもやらなければならないことがある。

それは、まず、アイコンタクトである。

全員に対して、ランダムにアイコンタクトをするが、相手の目を見る時間があまりにも短くても効果はない。

全世界共通の適正なアイコンタクトの長さは3秒である。

そのため、一人あたり3秒ずつアイコンタクトをする。

アイコンタクトの意味とは、「あなたに対して話しかけていますよ」というメッセージである。

日本人はアイコンタクトを意識的にしたり、アイコンタクトの訓練をしたことがないため、どうしてもおざなりになってしまう。

その結果、中空を見つめて、参加者からすると、司会進行役がどこを見ているか分からないという状態になる。

最近では、パワーポイントをプロジェクターでスクリーンに投影してプレゼンテーションを行うことが日常的にあるので、下手をすると、司会進行役までが、参加者を見ることなく、スクリーンを見たまま話すようになる。

そうなると、ますますアイコンタクトは取られなくなる。

参加者側とすれば、通常の会議の場合、自分以外にも参加者がいる状況で、さらに、参加者が多い会議では、誰しも、なぜわざわざ自分が話さなければならないのかという心理状態になる。

よほど強い意見がなければ、それまでの沈黙を破って自ら話そうとはしない。

だからこそ、他の誰でもなく、あなたに対して話しているのだというサインを送ることが必要。

それが、アイコンタクトなのだ。

まずは、このようにしっかりと相手の目を見て、意見を促すことで、意見は多少なりとも出やすくなってくる。

それと、注意点だが、安易に相手の名前を呼ばないこと。

相手の名前を呼んでから発言を促すと、それがパターンとなり、「名前を呼ばれたら発言するが、それまでは待っていて良い」という暗黙のルールができてしまう。

こうなると、司会者は毎回名前を呼ばなければならず、それをランダムにしようとしても、どうしても同じ人ばかり当ててしまって、全員から意見を引き出すのが困難となる。

しかし、このアイコンタクトは、コールアップ・クエスチョンにおける基本中の基本であり、次回からは、それを踏まえた上で、他に何をすべきかについて伝えていきたい。